アメリカ歴史・文化講義は13週目が終了した。前週の授業では、冷戦(の始まりと終わり)について資本主義と共産主義という対立軸が徐々にアメリカニズム、対、反アメリカニズムへと変化していく様態について学生と一緒に考察した。日本の歴史において、特に第二次世界大戦後の日本と米国の蜜月は無視することができない。もちろん、その裏には強大な米国の一部として組み込まれ、51番目の州と揶揄されながらも、両者の融和と新しい関係性の構築を模索する努力が潜んでいることは付記するに値する。
13週目の授業では、米国の歴史と文化を総括するという観点から、総合的な課題に学生は取り組んだ。それを通して、21世紀の日本の風景にどれほど米国の影響が溶け込んでいるのかを学生が改めて思考するきっかけとなることを期待する。海の向こうメジャーリーグでは大谷選手を始めとして多くの日本人選手が活躍している。これが当たり前の風景になるまでの日米野球史を紐解くだけでも、米国の歴史と文化、そして何よりもアメリカニズムの名の下に米国(人)中心主義を掲げてきた米国の矜持とその裏に見え隠れする度を越した不安症を抜きにしては語ることができない。
米国は今なお、自らのアイデンティティを模索し続けている。日本の大学で米国の歴史と文化を学ぶことを通して、日本が米国の探求する「あるべき姿」にどのように参与し得るか、そして、その担い手として学生は何ができるのか。グローバル化社会只中の今、それを自ら思考し行動する一助として、この授業における学びが役立つことを切に願う。