国際開発支援論II:フェアトレードから貧困を生むグローバルな構造を考えよう

本授業では、貧困を国際的視点及び国内の視点の双方からとらえる授業を展開している。まず、国際的な経済的な支配や従属関係の構造を捉えた従属理論を学んだ後、現代に続くその体現事例ともいえるチョコレートとバナナについて学んだ。ある日の授業では、映画「甘いバナナの苦い現実」を視聴したのち、フェアトレード商品を探索するフィールドワークをイオンにて実施した。以下はその授業実施後の学生の感想文の抜粋である。「講義だけでなく、実際に映像を見ることで実感が沸いた。バナナのプランテーションの実態を初めて見たが、農薬の空中散布による住民への被害は見ていて心が本当に痛んだ。また、農薬を散布する必要がない農園にまで風によって農薬が撒き散らされ、多大な被害を被っているという現状にも同情した。政府や自治体は住民の声を全く聞き入れないので、状況は一向に改善されない。フェアトレードの商品を見にイオンにフィールドワークに行ったが、とても楽しかった。産地やメーカーを意識して見たことが全くなかったので、新鮮だった。意外とフェアトレードの商品は少ないし、あまり目立たず、他製品に比べて値段が高いので、お客さんが買っている気配もあまりなかった。これから商品を買う時は、産地やフェアトレードか否かなどを意識して見てみようと思った。」

以上のように、本授業を通じて、学生の理論的理解が深まり、具体的事例の学習、フィールドワークを通じて、国際的および国内の貧困問題に対する総合的な理解とアクションへの動機づけが促進されている。