Karolina Grabowskaによる写真: https://www.pexels.com/ja-jp/photo/4386232/

アメリカ歴史・文化講義(Introduction to American History and Culture)

アメリカ歴史・文化講義は4週目が終了した。今年は米国大統領選挙の年でもあるので、直近の授業では米国独立前後の歴史的な流れを学ぶ傍ら、今日の米国を語る上で欠かすことのできない「中央集権論」と「州権論」について、具体例を学生に挙げさせて考察した。  

運転免許証のデザイン、自動車のナンバープレートのデザイン、刑罰(死刑制度の有無)の内容などが各州によって異なる事実をWebで調べて知るとともに、州単位でこのような違いが生じる理由を考察させた。その際に、日本の場合はどうであるかについても目を向けるように指示をした。日本の場合は米国と異なり、原則として(日本には州が存在しないので都道府県レベルでの議論になるが)都道府県が違っても自動車のナンバープレートのデザインは変わらず、都道府県ごとにユニークな運転免許証があることもない、ということを確認した。ご当地ナンバープレートなどの例外はあるが、おまけという要素が依然として強い。  

さて、米国は独立にあたって、13植民地が緩やかに結束する。英国との独立戦争に勝利し、13州から米国はスタートする(星条旗の13本の横線がこの独立13州を意味している)。地理的・文化的に異なる「多様性」を持つ13州が各州独自のやり方を独立後も維持し続けることを選択したことが州権論の起源になる。対して、独立後に対外的な米国のかじ取りを担う中央集権的な連邦政府が整備される。独立当時は中央集権の象徴、大統領の権限は今日よりも遥かに小さかった。  

時が経ち21世紀の今日、米国は世界のリーダーとして強大な力を発揮している。そのリーダーたる大統領が新たに決定するのは11月。他人事ではなく、国際人の一員としてその結果を見守りたい。